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日常だったりネタだったり作品の進捗だったり……色々書きます。不定期に。
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    書きたい衝動に駆られた結果

    「怪盗ロワイヤル」が楽しすぎて書きたい衝動に負けました。

    本日はそれになりますのでご興味のない方はこの辺りでノ


    ===============================================

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    ☆☆☆ 月下に出会う ☆☆☆
    ====================================================================

    「ひ、ひぃぃ、頼む! い、命だけはぁ……っ」

     床を這いずり回って情けなく助けを乞う質のいい服を着た太った男に、
    筋肉質な男は無言で迫ると固く結んだ拳でその頭を殴りつける。
    太った男は「ぎゃっ」と短い悲鳴を上げて目を回して倒れてしまった。

    筋肉質な男はそれを後ろに控えていた仲間からもらったロープで
    ぐるぐるに縛り上げて床に改めて転がす。

    「ばーか。命を奪うのは俺の主義じゃねーっつの」

     やっていることはただの物取り。その自覚は十分にある。
    けれど命だけは奪わないというのが男の主義で、それだけは
    生まれてこの方破ったことがない。

    「ロク兄ぃ、宝石詰め終わったぜー」
    「おう。じゃあ引き上げるぞー」

     仲間の報告を受けて筋肉質な男――ロクは屋敷中に届くように大声で
    号令を下した。すでにこの屋敷は完全にロクたちの手に落ちている。
    この暴挙も暴挙になりえない。

     ロクの号令を受けた彼の仲間や手下たちは次々に屋敷を後にしていく。
    その手には重そうなスーツケースや袋がたくさん抱えられており、それを
    持つ面々は一様にほくほくとした笑顔をしていた。

     それら全員の退去が終わったのを見届けて、最後まで残ったロクも
    屋敷を出て、仲間たちの誰とも違う道に入ってアジトに戻ろうと歩き出す。
    するとその背に、耳心地のよい声がかけられた。

    「ふむ、屋敷のセキュリティを落としSPたちを縛り上げドーベル犬たちを
    眠らせる。その結果誰一人として命を奪わず目的のものを手に入れる。
    見事な手腕じゃの」

     一連の行動を監視していたかのような発言に、ロクはとっさに腰に差した
    ナイフを引き抜いて振り返り構える。ロクが鋭い眼差しを向けた相手は
    意外な人物だった。

     星明りにも分かる白い髪と眉と鼻ひげをした老人。前髪は後ろに撫で付けられ、
    金色の鎖について片メガネの下の優しげだがどこか涼しげな双眸がよく見える。

    「……誰だあんた?」

     いぶかしみながら尋ねると、老人はとても優しく笑いかけた。

    「うむ。いきなり攻撃するような乱暴者ではないな。これで合格じゃ」
    「おいじいさん。いきなり現れて何言ってんだ?」

     いかれているのか。この辺りではおかしくもない。
     疑わしげな眼差しで老人を見ると、老人は鼻ひげを揺らして声を立てて笑う。

    「おやおやひどい言い草じゃ。わしのことは気軽にじぃとでも呼んでおくれ。
    今日はお前さんに話があって来たんじゃよ、義賊ロク殿」

     義賊、という呼び名にロクは眉を寄せた。この呼び方を知っているということは
    スラムで自分の事を調べたのだろうか。

     ロクはスラムに育った。スラムの暮らしは「誰が」ということなく、まるで
    当然のように一日を過ごすのが難しい。その現状に嫌気が差していたロクは
    大きくなってからは汚い稼ぎ方をしている金持ちから宝石や金などを奪い取り、
    それを売り払ったりそのままスラムの面々に分け与えるようになった。

     その行動のためか、気が付けがロクはスラムで「義賊」と呼ばれるように
    なっていた。

     義賊なんてご大層なものを気取るつもりはない。
    けれどこの行動だけは偽りのない心からの行動だと思っている。

    「話ってのは? 用件によっちゃ聞けねぇな」

     ロクは今スラムの実働部隊のリーダーだ。軽はずみな行動は
    取れない。それを言外に込めて問いかけると、じぃは眼差しを
    深めてじっとロクを見据える。

    「お前さん、怪盗にならんかね?」

     まるで夜にしみこむような透き通った声は、ともすれば
    聞き逃してしまいそうだった。けれどロクは、確かにそれを耳にする。

     だからこそ言えるのはこの一言。

    「………………は?」

     いつもの夜に現れた奇妙な老人。彼がこの先のロクの運命を
    大きく変える出来事を運んで来ようことを、ロクは知る由もなかった。

     

     

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