こんばんは若槻です。久しぶりのCOBOLはやっぱり死亡フラグでした。
普段VBAで慣れきってしまっている思考能力では理解するのに
時間がかかってかかって……。
きりちゃんが脳内に光臨してくれないかなと素で思ってました←
とりあえず訳が分からないところは迷わず課長に訊きに行きつつ、
締め切りは延びたけど後ろに仕事が残っているので頑張っていこうと
思います(-v-;)
さて、本日はうちの管理代行人のちょっとしたお話をば。
不定期に続きますノ
※ちなみに今回は若槻視点で進みます&謝が主役の時はちょくちょく
若槻が登場しますので、そういうのが嫌いな方はバック推奨です。
→「小説」カテゴリとは別になります。
→「キャラクター」カテゴリが増えてきたので「小説」に移動します。
※前提※
1.謝と好が実際に登場したのは「風吹く宮」設立後でしたが、
ここではその前から普通にいる住人のひとり、となります。
2.「風吹く宮」が昔からある感じになってます。
3.不思議な老人登場
4.若槻が年齢詐称(これはどうでもいい
[1回]
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『はじめましてマスター。よろしくお願いします』
冷めた声でそう言ったその子は、俯いたまま赤い双眸に
私を映そうとはしなかった。
* * *
この風が吹き抜ける丘に白亜の宮が構えられた頃、小さな兄妹がやってきた。
柔らかいオレンジ色の髪にキレイな赤い目をしたその子達はまだ幼くて、
妹の方は何も分かっていないらしく、ただ居場所が変わってそばにいる人が
変わったくらいにしか思っていなかったのかすぐに慣れてくれた。
問題は、兄の方。
手間がかかったわけじゃない。それどころか好奇心旺盛な妹よりも
よっぽどいい子だ。ただ、"いい子すぎる"。
騒ぎを起こす問題児よりはきっと十分扱いやすいし、きっとそんな子に
苦労している人からは「わがままだ」と私が言われてしまうだろう。
けどそう思わずにはいられないのは、あの子がどこまでも自分の
意見を言わないから。
たとえばどうしたいかを訊いても、あの子は「お心のままに」と
大変従者らしい言葉を返してくる。
自分で決められない子ではないのだ。「自分で決めていい」ではなくて
「自分で決めなさい」と言うとあの子ははっきりと選択する。
だから余計に悲しい気がするのは私のエゴだろうか。
あの子たち兄妹は時々ふらりと宮に寄る老人が預けてきた子達だ。
「頼まれてくれ」と悪びれもなくそう言った彼はあの子達がどんな子かは
言っていかなかったけれど、とりあえず血縁者ではないのは明白だ。
訊いたところ、老人に「従者として」ここに来るのだと言われていたらしく、
あの子は最初からそのスタンスを崩していない。
もちろん私が頼んだわけではないのでそんな必要はないと言い聞かせた。
が、残念ながらあの子は結構強情でそんな言葉を聞こうとも
しなかった。
そのため今もあの子の立場は「私の従者」だ。
けれど私があの子に望むのはもっと近い存在――――家族、と言っても
いいだろうか。
この宮に住むのなら、ぜひそうであって欲しかった。
「……ああもうこんな時間か」
ふと懐中時計を開いた私は針が示す時間に気付いて手にしていた
ペンを置いて立ち上がる。
最近の習慣、部屋を出て探すのは私を映さない赤い双眸。
今日こそこっちを見てくれないかなと淡い期待を抱きつつ、
私は扉を空けて人気の少ない宮の中へと出て行った。
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