こんばんは若槻です。昨日の夜に読み始めて3~4時間ほとんど
同じ格好で本を読んでいたので一日肩というか背中というかが
痛かったです。やっぱり適度に動くのは必要ですね……。
さて、ということで昨日丈さんにお借りしました「テンペスト」2巻を
読み終わりました。
本日はその感想を。
※ネタバレ込みなので注意してください。隠しません
~ テンペスト-2巻 ~
まず一言で言うと、「疲れる」です。
もちろん休憩なしに一気に読みきったのと若槻がそもそも
物語没頭型な読み手なのも理由にありますが、だからこそ
いっそうこの内容が疲れてしまいました。
今巻になって物語はさらに混沌とした様子になっていきました。
主人公・寧温はばれたらどうしたって問題になる相手にばかり
素性がばれてしまい、そのたびに窮地に陥っていきます。
そのたびに命を諦めかけるけれど、それでも寧温は何度も
立ち上がり、その苦難を乗り越えていきました。
その様には応援したくなるのはもちろんでしたが
それ以上にどこか悲しくなってしまいます。
大事な人のために、どうしても非情にはなれない「彼女」の優しさが
「彼」にとっての鎖になっているのが哀れでした。
ちなみにこの巻で女同士の戦いによる後宮争いには
決着がつきました。
が、その後さらに苦しい事態が寧温を待ち受けます。
正直この後に現れる人物――清国の宦官は本っっ気で気持ち悪い。
読みながら何度「こいつ早く誰かに殺されろ」と思ったことか。
最終的にはその願い叶いますが、そのせいで寧温は流刑に
されてしまうことになりました。
あああもう!死んでもなお鬱陶しいこの男!!
ちなみにこの流刑に向かう道すがら寧温の人生にかかわってきた
人々が見送ってくるんですが、ひとりひとりの心にまた涙ぐんで
しまいました。
特に、学生(言い方はおかしいですが)時代からの同門の友人である
年上男性の「相談してくれたら自分が代わりに殺してやったのに。
それぐらいの恩返しは出来たのに」という言葉がなんだか胸に来ました。
家族のいる人だから本当にそうなったらやっぱり心が痛かったけど、
その寧温に対する大きくて優しい心が凄くほっとしてしまったんです。
敵だらけになってしまった寧温に、最後まで味方として接してくれた人だから。
もうひとりの寧温にとって凄く近しい人の行動もとても優しかったです。
どこまでも寧温のことを考えるその言動に何度も泣きかけました。
この人は本当にネタバレだから割愛。
とりあえず簡単に1・2巻の問題方向をまとめると、
1巻・2巻中盤までは王宮物おなじみの後宮問題と官吏の不正や
才能に対する嫉妬と嫌がらせ。
2巻後半は、いわゆる「性」の問題ですね。
男でなくなったはずなのにどこまでも「男」を残した清国の宦官は
遊郭やら後宮の女性たち、そして寧温にも手を出しました。
こういう話を読むと毎度思うのは「性」の暴力性です。
ちょっと重いですけど、事実若槻はそう思っています。
そもそもその行為自体は種族の繁栄を目的とした大切なことなのでしょう。
本能に書き込まれたことだし、食事や睡眠に並ぶ基本的な欲望です。
けれどそこに快楽性があることがどうしても危険を孕んでいるように思えます。
男と女、雄と雌という形こそ作られていますがその大元は同じように
心を持ち痛みを知る人間のはずです。ならば普通ならば相手の
気持ちを慮って然り。
が、相手の意思に関係なくそこに踏み入れてしまうことも実際
出来てしまうのです。男女関係なく。
そしてそれを楽しむ者も実際にこの世にはいます。
この話に出てくる宦官も正にそれですね。
相手が嫌がるからこそ楽しむと言う、最悪の思考。最悪の嗜好。
そんな暴力性が確かにこの行為には宿っているのです。
この行為が悪とは言いませんが、相手を踏みにじるのは悪です。
こういうことをする人間は苦しんで死ねばいいのにと本気で
思っている若槻です(物騒ですみません;)
ニュースを見たりしても同じように感じますが、久しぶりに本で
そういう感覚に捕らわれました。
うーん、やっぱり本はハッピーエンドがいいですね。
悲劇は心を磨耗させる。
まだまだ本は続くので、この先に寧温が幸せになってくれることを
本気で願います。
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