本日2枚目の記事です。
読書週間ということで読んだ作品とその感想をつらつらと。
~
北原亜稀人さん ~
サイトマスターでお世話になっている方です。
兼業小説かさんだそうで色々とお仕事なさってるようですよ。
昨日今日でサイトの作品はすべて拝見しました。
第一印象は「嫌世的」。「厭世」までは行かない感じだからこう。
と言っても、バッドエンドなわけじゃありませんけどね。
北原さんの作品は大抵主人公がどこか世界に
諦めている感じがしてとても現実的なんですよ。
(※若槻の主観です)
北原さんは若槻とは真逆で書く話が全て現実世界に準じるものでした。
そして若槻の記憶違いでなければ全て一人称進行。
そのためか、主人公たちの心情がとてもよく伝わる。
北原さんの凄いところは、それを淡々とした文章ではっきりと
伝えてくるところだと思います。
主人公の境遇や状況、心境を、淡々とした語り口調で、色々な
表現を使って、分かりやすく伝えてくるところに素直に感心しました。
(……感心、じゃ偉そうなのかな?)
最初に読んだのは「コーヒースタンドと切り取られた世界達」。
コーヒースタンドに働く、どこにでもいそうな普通の、ひとりの女性の物語。
大体彼女の一生を追っている感じ。
その中で何があって彼女が何を考えて、っていうのがつらつらと。
結構読みやすいです。
一人称タイプの小説っていまやあちらこちらに溢れかえっていますが、
若槻は最近のラノベの無理やり高くしたようなテンションが苦手です。
二人称でもそんなものが多くてちょっと食傷気味。
けど、北原さんの一人称は落ち着いていてそういうのはありませんでした。
なんでしょう、国語の教科書を思い出すような?
このまとめ方は見習うべきものだと思うので、技術力を盗むべく頑張ろうかと。
(Not盗作。たまに勘違いしてる人がいるので一応……)
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~ テンペスト-1巻 ~
結構前に丈さんに借りたのに読み途中のままで放置していた本。
多分知っている方も多いのではないでしょうか。
これは琉球のお話で、まだ琉球王国だった頃が舞台ですね。
主人公の女の子が性別を偽って官吏として働く、っていうのが
超大まかなあらすじです。
こんなあっさり文だと「よくある話か」と誤解されそうですが、
とんでもない。これは良作だと思います。
文体は歴史小説らしい固い言い回しや琉球特有の言葉などが
出てくる感じですね。
ちょっと単調すぎるところもあるけど、キレイな表現や上手い喩えも
たくさん出てきます。
残念ポイントを言うなら台詞がいかにも「台詞!」なところ?
あとは、時々出てくるカタカナがどうにも残念です。
折角話の中に入り込んでいるのにポンとカタカナが入ってきて
一気に引き戻させられちゃうんですよね……。
ですが内容は秀逸。
ネタバレになるので細かいことは省きますが、主人公寧温(真鶴)は
幼い頃からとても優秀な女の子でした。
しかし時代が時代。どこのお国も女は男の下にあり、同等で
あることなんてとても許されませんでした。
学びたくても学ぶことを許されない。そんな幼少期の辛い時期が
過ぎると、今度は男として生きることを選ぶことになり名を
寧温と改めます。
物語中盤頃に寧温は科試(中国で言うところの科挙)を通り
見事琉球初の「宦官」官吏になるのですが、そこに至るまでにもあらゆる
困難苦難不幸がありました。
途上泣きそうになったところも……。
それでもくじけずに前を向き、宮内の多くの年上の敵たちと
戦っていく寧温。味方は同期と級友(でいいのかな)と××だけ。
幸いなのは王様が琉球のためを思って働く寧温を現王が
快く思い支持していることでしょうか。
ところでこの話、女って怖いってことを再度認識させられます。
若くして才能を遺憾なく発揮する寧温に先輩官吏たちは
権力を使ってのいじめや嫌がらせ、その他諸々やってきます。
でもやっぱり男の仕返しってそういうタイプなんですよ。
怖いのは、奥にいる女たち。
1巻だけでも6人くらいの強烈な女性達が登場しています。
そこに繰り広げられる権力を争う熾烈な女の争いは
読んでいると背筋が冷えてしまいますね。
さて、続きはどうなるのでしょう。どうにも気になりますね……。
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